結論
海外の日系事業者がサイトを多言語化するとき、つまずくのは「翻訳」よりも設計です。Google はページの見える本文で言語を判定し、URL を分けるなら hreflang で各言語版を正しく結びつけるよう求めています。本ガイドは、日本語×英語×タイ語のサイトを、検索にもユーザーにも正しく届く形で作るための設計・実装・失敗回避を、バンコクで 6 年間制作してきた立場から整理します。
01
なぜ多言語化でつまずくのか
多言語サイトは「日本語をそのまま翻訳して並べる」だけでは機能しません。Google はコードの lang 属性や URL ではなく、ページの可視コンテンツで言語を判定します。1 ページ 1 言語を徹底し、左右に原文と訳を併記しないことが基本です(出典: Google 検索セントラル)。
02
URL 構成は 3 パターン — どれを選ぶか
言語・地域ごとに URL を分ける方法は主に 3 つ。Google は方式を問わず動作しますが、運用負荷と訴求が変わります。
| サブディレクトリ(例.com/en/) | サブドメイン(en.例.com) | 別ドメイン(例.co.th) | |
|---|---|---|---|
| 運用・SEO 資産の集約 | ◎ | ○ | △ |
| 地域ターゲティングの明確さ | ○ | ○ | ◎ |
| 導入・保守コスト | ◎(低) | ○ | △(高) |
| 中小・越境での現実性 | ◎ | ○ | △ |
- 中小・越境では、資産集約と低コストのサブディレクトリ型が現実的です。
03
hreflang の基本(ここを外すと無効化)
URL を言語で分けたら、hreflang アノテーションで相互に結びます。Google が挙げる頻出ミスを避けるのが肝心です(出典: Google 検索セントラル)。
各ページは“自分自身”にも hreflang を張る。相互参照は双方向で完結させる。
- self-reference:各ページが自分の言語版にも hreflang を持つ。
- 双方向:A→B を張ったら B→A も張る(片方向は無効)。
- x-default:言語が一致しない閲覧者向けのフォールバック URL を用意。
- 同一言語で地域別 URL がある場合は、canonical で優先版を明示。
04
実装の流れ
- 01
言語設計
対象言語と各言語の役割・対象地域を決めます。
- 02
URL 設計
サブディレクトリ等の方式を選び、言語別 URL を設計します。
- 03
翻訳・現地化
通貨・日付・商習慣・決済表記まで含めて現地化します。
- 04
hreflang / sitemap
self-reference・双方向・x-default を整えます。
- 05
言語切替 UI
同一ページの言語版へ切り替わるようにします。
- 06
GSC で検証
国際ターゲティング / カバレッジで hreflang エラーを点検します。
- 翻訳は「機械翻訳の貼り付け」で終わらせない。現地化(通貨・日付・商習慣・決済表記)まで含める。
- 公開後は GSC の国際ターゲティング / カバレッジで hreflang エラーを点検する。
05
よくある失敗
- 自動翻訳ウィジェットだけで多言語“風”にする(Google は可視本文で判定=評価されにくい)。
- hreflang の self / 双方向の抜け。
- 言語切替で別言語のトップへ飛ばす(同一ページの言語版へ飛ばすのが正)。
- 更新時に一方の言語だけ直し、整合が崩れる(更新体制を先に決める)。
06
よくある質問
- 翻訳ツールの自動翻訳だけでも多言語 SEO になりますか?
- 可視本文での評価が基本のため、現地化された個別ページが有利です。自動翻訳ウィジェットだけでは評価されにくくなります。
- サブディレクトリとサブドメイン、どちらが良いですか?
- 中小・越境では、資産集約と低コストのサブディレクトリが現実的です(要件により異なります)。
- タイ語だけ後から足せますか?
- 設計時に多言語前提にしておけば、追加は容易です。
監修者
小野寺 陽介
WALC DESIGN Co., Ltd. 代表。2019 年バンコク創業。日系事業者向けに WEB 制作・ブランディング・グラフィック・多言語/翻訳・業務アプリ開発を一気通貫で提供。複数の事業を自ら運営し、現場で機能する制作を強みとする。
会社情報・代表出典
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